ルセフィ(ルセオグリフロジン)

適応
 2型糖尿病

名前の由来
 ルセフィ(Lusefi)は、一般名のLuseogliflozin(ルセオグリフロジン)+fineから命名した。
 なお、ルセオグリフロジンの名称は、ラテン語で「光り輝く」を意味する「Luceo」に由来している。

血中半減期
 10-13hr

代謝
 CYP3A4, CUP3A5, CYP4A11, CYP4F2, CYP4F3B
 グルクロン酸抱合

作用機序
 SGLT2の阻害

所見
 フォシーガ、アプルフェイ、デベルザと同時期に承認を取得したSGLT2阻害薬です。
 ルセフィもグルクロン酸による抱合を受ける薬剤ですが、CYP系の代謝のほうが強いのか、肝機能患者を対象とした試験でも、フォシーガほど顕著な動態の変化は出ていなかったようです。

 副作用の傾向は他のSGLT2阻害薬と同じような傾向が出ていますが、低血糖の発現率が2.4%(30例/1262例)と、少し発現率が高い印象を受けました。ただ、治験段階の情報になりますので、対象集団の選択方法でもかなり変わってきますし、詳細は市販直後調査の結果をもって判断するべきと考えています。
 スーグラが10月まで、それ以外のSGLT2阻害薬が11月まで調査期間になっており、早ければ年明けにも全薬剤の情報が出揃うはずです。

 ルセフィはフォシーガと同じく、1日1回、2.5mg服用を標準としていますが、効果不十分の場合には5mgまで増量可となっています。
 薬価の設定も同じで、2.5mg錠の薬価が205.5円、5mg錠は308.3円となっているので、増量すると他のSGLT2阻害薬よりも少し高めになります。
 効果不十分の場合は、切り替え可能であれば、他薬への切り替えを試したほうがお得かもしれません。

 なお、ルセフィはノバルティスファーマと共同販売していますが、ルセフィは大正製薬の自社開発品で、販売ライセンスをノバルティスが取得したものと思われますので、某薬剤のような副作用の隠蔽等は無いはずと考えています。

製品情報-ルセフィ
承認 2014.03.24
薬価収載 2014.05.23

フォシーガ/(ダパグリフロジン)

適応
 2型糖尿病

名前の由来
 患者のため、患者家族のため、医師のためをあらわす「for」と、inhibit glucose absorption(糖の吸収を阻害する)の頭文字「iga」を掛け合わせる(x)ことで、他の血糖降下薬にはない新たな作用であることを表現している。

血中半減期
 12-13hr

代謝
 グルクロン酸抱合

作用機序
 SGLT2の阻害

所見
 2012年10月にSGLT2阻害剤として世界で初めて2型糖尿病治療薬の承認をオーストラリアで取得した薬です。
 尿路感染や性器感染等、感染症の発現率が最も高かったようですが、それでも3.1%(31例/1012例)なので、さほど気にすることはないレベルだと思っています。

 ダパグリフロジンはグルクロン酸による抱合を受けるので、肝障害患者だとやはり血中濃度が上昇するようです。 ただ、腸管循環を受けない分、半減期は早くなるようで、中~重度の肝障害患者では血中半減期が 6 – 8hrと、一般患者の倍の速度で排泄されていました。

 フォシーガは1日1回、5mg服用を標準としていますが、効果不十分の場合には10mgまで増量可となっています。
 5mg錠の薬価が205.5円、10mg錠は308.3円となっているので、増量すると他のSGLT-2阻害薬よりも少し高めになります。
 効果不十分の場合は、切り替え可能であれば、他薬への切り替えを試したほうがお得かもしれません。

製品情報-フォシーガ
承認 2014.03.24
薬価収載 2014.05.23

アプルウェイ/デベルザ(トホグリフロジン)

適応
 2型糖尿病

名前の由来
 アプルウェイ
 Apleway はApple(りんご)とway(道、方法)の造語で、リンゴの樹皮から抽出された物質を起源とした、
 いままでの糖尿病治療薬にはない作用機序をもつ薬剤という意味から

 デベルザ
 de beleza ポルトガル語での「美」を意味する
 エネルギー代謝全般を改善し、内面から身体本来の「Inner beauty」を取り戻すことを期待できる薬剤であることから

血中半減期
 4-6hr

代謝
 CYP2C18, CYP3A4, CYP3A5, CYP2C18、CYP4A11, CYP4F3B
 などのCYP系による代謝とグルクロン酸抱合

作用機序
 SGLT2の阻害

所見
 最近承認されたSGLT-2阻害薬は、リンゴや梨の樹皮から見つかった「グリフロジン」という物質に、SGLT阻害作用が見出されて薬剤化された医薬品です。

 トホグリフロジンの開発は、中外、サノフィ、興和の3社による共同開発が実施され、サノフィと興和から、それぞれ販売されました。
 同じ成分で2つの名前を持つ薬剤は、分かりづらくてあまり好きではないですね・・・。個人的には、名前に発祥場所を入れたサノフィの命名に軍配を上げたいところです。

 さて、見出されたのが1980年代らしいので、30年ほどの期間を経て、市場に出てきています。この薬に限ったことではなく、やはり市場に出るまでにはかなり時間がかかります。新薬開発も難しくなっているので、まだまだ製薬会社の再編は進むかなと思っています。

 トホグリフロジンはCYP系による代謝を受けているので、肝障害患者だとやはり血中濃度が上昇するようです。 ただ、承認用量の倍量である 40mg を服用されていた試験でも、副作用の傾向にほとんど差はないようでしたので、それほど気にしなくてよいのかなと思います。スーグラ同様のSGLT2阻害薬なので、そもそも腎不全でグルコースを尿中へ排泄できない人には効果のない薬剤になります。

 スーグラでは見られなかった副作用として「血中ケトン体上昇」が11.5%(117例/1060例)の方に出ているのが少し気になります。
 糖がエネルギーとして利用できない場合、脂肪を分解してケトン体をエネルギー源としますので、尿中グルコースの再吸収阻害だけでなく、血中グルコースの体内吸収までもが阻害されてしまっているのかなと考えています。ケトアシドーシスの副作用は報告されていなかったようですが、他の薬との併用状況によっては起こりやすい状況にあります。

 それ以外は1日1回朝服用、薬価も同じで、スーグラとあんまり変わらないのかなと思います。
 市販直後調査の結果待ちです。

製品情報-アプルウェイ
製品情報-デベルザ
承認 2014.03.24
薬価収載 2014.05.23